プログラマのための IT 教科書
はじめに

この教科書の使い方

読了目安 10

この章を読むとできるようになること
  • 自分が今どこを読むべきか判断できる
  • エラーメッセージと公式ドキュメントの読み方の型を持つ
  • 何分詰まったら人に聞くかを決められる

この教科書は、プログラマとして働き始めるために必要な IT の基礎を、順番に積み上げていくためのものです。

大学の授業で習うような体系的な知識と、実際の現場で必要になる知識は、重なっている部分もあれば、 まったく重ならない部分もあります。この教科書は後者、現場で必要になる方に寄せて書いています。

何が書いてあるか

最終的なゴールは、TypeScript と Go でマイクロサービスを書き、gRPC で通信させ、 Kubernetes(GKE)にデプロイして、Spanner にデータを保存できるようになることです。

ただ、そこに直接ジャンプすることはできません。gRPC を理解するには HTTP が必要で、 HTTP を理解するには TCP が必要で、kubectl を使うにはターミナルが必要です。 なので下から順に積みます。

内容いつ読むか
第1部・第2部シェル、Git、開発の進め方最初に。必読
第3部・第4部ネットワーク、Web、ブラウザ、TypeScript、Go業務が始まるまでに
第5部・第6部gRPC、データベース、Kubernetes、セキュリティ業務と並行して

全部を順番に読み切る必要はありません。第1部と第2部だけでも、 先輩との会話が「何を言っているか分からない」から「知らないけど調べられる」に変わります。

演習の使い方

本文の途中に、こういう演習が挟まっています。実際にコマンドを打って動かせます。

演習

今いるディレクトリの絶対パスを表示してください。ホームディレクトリにいるはずです。

コマンドを入力して Enter を押してください。

~%
  • 未達最後の出力が指定どおりになっている
help で使えるコマンドが見られます

これはシミュレーションです。ブラウザの中だけで動いているので、 何を打っても自分のマシンには影響しません。rm -rf を打っても大丈夫です。 むしろ、危ないコマンドの挙動はここで確認してください。

演習で詰まったら

ヒントは段階的に出ます。最後のヒントには答えが書いてあるので、 5分考えて分からなければ答えを見て構いません。 「自力で解けたか」より「その後に説明を読んで納得できたか」の方が大事です。

未対応のコマンドを打つと「未対応です」と返ってきます。 help と打つと、その演習で使えるコマンドの一覧が出ます。

詰まった時にどうするか

これがこの章で一番伝えたいことです。

30分ルール

30分考えて進まなければ、人に聞いてください。

新人がやりがちな最悪のパターンは、3日間ひとりで詰まって、 スプリントの終わりに「実はできていません」と言うことです。 これはあなたの評価を下げるだけでなく、チームの計画も壊します。

一方、30分詰まって聞くのは、まったく問題になりません。 先輩は5分で答えられることが多く、その5分でチームは2日を節約できます。

聞くときは、次の3つを添えると一発で答えが返ってきます。

  1. 何をしようとしたか(例: ローカルで API サーバーを起動しようとした)
  2. 何が起きたか(エラーメッセージをそのまま貼る。要約しない)
  3. 何を試したか(例: ポートを変えてみた、docker ps を見た)
エラーメッセージを要約しない

「なんかエラーが出ます」では誰も答えられません。 エラーメッセージには原因がほぼ書かれているので、全文をそのままコピーして貼るのが最短です。 自分で読む時も同じで、長くても最初と最後の数行は必ず読んでください。

調べる順番

  1. エラーメッセージをそのまま検索する。固有のパス名や ID は消して検索します
  2. 公式ドキュメントを見る。ブログ記事より公式が正確で、たいてい速い
  3. AI に聞く。ただし答えをそのまま信じず、公式ドキュメントで裏を取ります
  4. 人に聞く

3 の注意点は、AI は存在しないオプションやメソッドを自信たっぷりに答えることがある点です。 「そんなコマンドは無い」と怒られたら、それは AI が間違えています。

この教科書の書き方の約束

  • なぜそうなっているかを書きます。手順だけ覚えても、状況が変わると応用できません
  • 実務の落とし穴を明示します。オレンジ色の枠がそれです。ここで時間を溶かす人が多い箇所です
  • できないことは正直に書きます。ブラウザ上のシミュレーションには限界があるので、 「ここは実機で確認してください」と書いてあります
読み終わったら記録を

各章の下に「読了にする」ボタンがあります。押すと目次に反映されるので、 どこまで読んだか分からなくなりません(この記録はあなたのブラウザにだけ保存されます)。

まとめ

  • 下から順に積む。第1部・第2部が最優先
  • 演習はシミュレーションなので、壊すのを恐れずに打つ
  • 30分詰まったら聞く。エラーメッセージは全文貼る
  • 公式ドキュメントを最初に見る癖をつける

では、ターミナルから始めましょう。

読み終わったら記録しておくと、目次で進み具合が分かります。